『夕焼けの中で』



いつも通りの帰り道かなめがふと足を止め宗介につぶやいた。

「ねぇ、ちょっと寄り道していかない?」

そんな一言に宗介は不思議そうな表情を浮かべ『寄り道?』っと聞き返した。

「っそ、寄り道。久しぶりに天気がいいんだし・・・・なんだか真っ直ぐ帰るのももったいない気がして。
それに今日は買い物もして帰らない事だし・・・どう?ダメ・・・かな?」

そう聞き返すかなめに向かって宗介は『たまにはいいかもな・・・』っと返事をした。

「よし!じゃ今日は一駅前の駅で降りてそこから歩こっか。」
「そうだな。」

そして、2人は歩き出した。


たいした会話をする事もなく2人は歩いていた。
こんな些細な時間が2人にとってはとても心地のいい時間だった。

っとかなめが指差して言った。

「ソースケ、ちょっとこっちへ行ってみない?」
「なにかあるのか?」
「うーーーん、まっ行ってみようよ。」

かなめの返事にちょっと不審さを抱いた宗介だが「そうだな。いいだろう」と歩いていった。

2人が行った先には川が流れていた。
丁度、夕焼けに差し掛かった頃であたり一面がオレンジに染まっていた。

「うわぁーーーキレーーーー。」

かなめはそう言いながら土手へと走っていった。

「あまり、はしゃぐと危ないぞ。」

その後を宗介はゆっくりと歩いていった。

宗介がかなめの傍まで行くと振り返りなぜかかなめはイタズラっぽく笑った。

「どうした?」

宗介が怪訝そうな顔で聞き返すと・・・・・

「それっ!!」

かなめは宗介に向かって小さな包みを投げた。
何かがいきなり飛んできた拍子で『うわっ』っと叫んだ宗介はそのまま後ろへドスン!!っとしりもちをついてしまった。
そんな、宗介の様子を見てかなめはクスクスと笑っていた。

「ごめんね。そんなに驚くとは思わなくて。」
「千鳥・・・いきなり物が飛んできたら俺でも驚くぞ。
ましてや、まったく警戒心を抱いていない君からだとなおさらだ。」
「ほんと、ごめんてば。」

謝りながらもかなめはまだ笑っていた。

「ところで今何を投げた?」

宗介は上手い具合に自分のお腹の上へと載っている小さな包みを手にした。

「なんだこれは?」

そう言って宗介はその包みをごそごそと開けた。
すると中から小さな袋が出てきた。そしてその中には小さな石が入っていた。

「石・・・?」

宗介はその石を手に取ると不思議そうな顔をした。

「これは・・・なんだ?」
「なんだ?って見ての通り石よ。」
「いや、そう言う意味ではなくて・・・・・」
「あぁ、どういう意味かってことね。」
「そうだ。」

宗介は手に取った石をいろんな角度で見ていた。

「それ・・・護り石。」
「護り石?」
「っそ。まぁ〜お守りみたいなもんよ。あんたにあげる。」
「俺に?」
「っそ。あんたがこの間くれたプレゼントのお返し。
いろいろ調べたんだけど、あんたがこの間くれた石と似た様な意味を持ってるんだって。
あと、なんだったかな?恐怖心を取り去り、心の混乱を静め、強い意志と鋭い直感に恵まれる石だったかな?」
「これがか?」
「っそ。だから、よかったらお守り代わりにでもな・・・って。」
「わざわざ探してくれたのか?」
「・・・まぁ・・ね。」
「すまない。大切に持っておく。」
「うん。」
「で。この石はなんて名だ?」
「名前?確かソーダライトだったかな?不思議な色でしょ?その藍色。」
「そうだな。」

そして、宗介はその石を大切にしまい込んだ。
するとかなめはそんな宗介の様子を見ながら

「あんたにはまだまだあたしの傍にいてもらわないとね。」

っと小さくつぶやいた。

「何か言ったか?」
「えっ・・・何も。」

かなめはそう言ってから宗介へ走り寄ると手を差し出した。
そして、その手を宗介は掴んだ。

「すまない。」
「これぐらいはしないとね。」

そういってかなめは宗介をひっぱり上げた。

「じゃ、帰ろっか。」
「あぁ。」

かなめは宗介に汚れた背中を払おうと手を離そうとした。
しかし、掴んだ宗介の手はかなめから離れなかった。

「ソースケ?」

かなめが不思議そうに聞き返すとしばらくの沈黙ののちポツリと言った。

「もうしばらくこうしてないか?」

その言葉にかなめは鼓動がドキドキと高鳴った。

「な、なに言ってんの?子供じゃないんだから。」
「おかしいか?」
「おかしくはないけど・・・・」
「では、いいじゃないか。」

すると、宗介はもう片方の手で落ちている鞄を拾い上げるとかなめを手を繋いだまま歩き出した。





夕焼けの為にお互いに気が付かなかったようだが2人の顔は真っ赤に染まっていたのだった。









(Fin)










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          100.000HIT企画の第一弾フリー配布作品です。
          アンケートで1位だったのがラブラブだったのですがこのお話は
          皆様の期待に沿えるようなラブラブな内容になっているのか
          書いている本人すごく不安なのですが・・・・
          よろしかったらお持ち帰りくださいませ。
          話しの内容的にはラピスラズリをもらったかなめはその後宗介に
          何か返したのかな?っと思いこのような話を書いてみました。
                                       2004.01.28







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