【SIDE MISSION】
世界規模のテロにより、平和だった日常は戦いの日々へと一転した。
あちこちで、銃撃戦が繰り広げられ、無力な人々の命の灯火が消えていく。
そんな中、疾風の如く駆け抜ける二人の姿があった。
「海杜くんは、向こうをお願い!」
「分かった」
そう言うと二人は散開して、次々と敵を薙ぎ払う。
まるで、銃弾の軌道を完全に読んでいるような俊敏な動きで両手に持っているナイフで斬り裂く。
飛び散る血飛沫と悲鳴が痛々しい。
数分もすると、数十名は居たはずの敵は見事に殲滅されていた。
「これで、ここの区域は終わったな」
「えぇ、一応はね」
「さて、一番厄介なのが来た」
海杜は空を見上げ舌打ちをした。
太陽の光に反射する、グレーの機体。
あれは、まさしくM9(ガーンズバック)だった。
M9は二人を目掛けてロケットランチャーを発射すると同時に地上に落下してくる。
二人は素早い動きで攻撃を避け、近くに隠してあった専用機に搭乗した。
<<セイヴァー搭乗確認>>
<<コードネームと暗証番号の確認を行います>>
AIの声がすると、確認パネルが開き、入力を要求される。
目の前のパネルに素早くタッチすると、音声入力に切り替え全てのシステムに異常が無いかを確認する。
「システム、オールグリーン」
「エレメント・コア、正常値安定を確認」
「行くぞ、九重!」
「えぇ!」
メインカメラが淡い緑色に光ると、機体は音も無く動き出し5体居るM9を蹴散らしていく。
『くっ、なんていう機動力だ!』
『バ、バケモンだ!』
目で追うのがやっとなくらいの速さで、動きには着いていけない。
空から銃弾の嵐が降り注ぎ、エラー音と爆音が鳴り響く。
「これで、終りだ!」
海杜が大きく叫ぶと、左腕に装着されている巨銃が咆哮を上げながら蒼い閃光を放つ。
残りの2機は、跡形も無く消し飛ばされる。
「バトルオーバー」
「通常モードに移行っと」
静かな音を立て、緑色だったカメラが青色へと変わっていき、方膝を地に着いて降り易い態勢になる。
コクピット部分が開くと、最初に顔を出したのは海杜だった。
「ったく、ミスリルが壊滅してから随分と無秩序だ事」
「仕方ないわよ、なんたってラムダ・ドライバが大破して相良軍曹は一命を取り止めたとは言え大怪我してるし」
海杜は、やれやれといった感じで首を横に振る。
溜息混じりの文句も虚しく、軽く息を吐く。
「まぁ、取り敢えずTDDとウィスパードの二人が無事だっただけ有り難いとするしかないが、問題はアーバレストの修復と改善が出来るかがだ」
「その辺なら、筑紫ちゃんが何とかなるって言ってた」
「戦闘も終わったし、帰るか」
「今はそれが得策ね」
この場に居ても仕方ないと判断した海杜達は取り敢えず、一旦本拠地へ帰る事にした。
後に、最新武器を搭載したアーバレストやTDDの活躍により世界が平和になった事は言うまでもない。
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