唇に柔らかい感触。
額に誰かの前髪が当たって、くすぐったい。
・・・ああ、ソースケの匂いがする。
***
「・・・ん・・・」
「千鳥、起きろ」
「もう。ソースケ・・・やだってばぁ・・・ふふふ」
「やだではない。起きろ。もう昼だぞ」
「やだ?…ひ、ひる・・・」
「そうだ」
そこで、やっとかなめが目を開けた。
宗介と目が合った途端、きっかり一秒沈黙して――
「いやぁぁぁぁぁぁぁぁぁあああああああああ!!!!!!?」
耳まで赤くなって、宗介を反対側の壁に突き飛ばした。
「ソースケのバカ!変態!えっち!死んじゃえーっ!!!」
「うぉっ・・・」
がんがんがんがんがんがんがん。
そばにあったお盆で、相手を撲殺しかねないほどの勢いをもって何度も殴り倒す。
かなめはとどめとまでに、そばにあった空の一升瓶をものすごい勢いで振りかぶり……
そこで、やっと止めが入った。瑞樹がかなめを後ろから羽交い絞めにした。
「カナメ!落ち着きなさい!なに寝ぼけてんのよ!?」
「ね、ねぼけ・・・??あ、あぁっ。あたしったらなんて夢を・・・」
かなめは瓶を取り落とし、頭を抱えて膝をつく。頭からでぶすぶすと煙を吹く宗介には目もくれない。
何やら随分恥ずかしいことを思い出したようで、彼女は顔を真っ赤になってぶんぶんと頭を振った。
すると恭子がかなめの前にしゃがみこみ、楽しそうに尋ねた。
「カナちゃん。どんな夢だったのー?」
「…。い、言えない」
あいつにキスされただなんて。
新年早々こんな夢をみてしまった、あたしのほうこそ変態だ。
しかし。まぁ、改めて考えてみると――
(いい夢だった・・・かも)
彼女は思った。
あれが『現実』だったら、どんなに幸せなことだろう、と。
END
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あとがき
これ書いたときなに考えてたんでしょう。ゴロゴロゴロゴロ(頭を抱えて床を転げまわる)
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