笑 顔 − 宗介編 −



自分の中でなにかが変わった。

なにが変わった?

具体的にはわからない。

それでも変わった事は間違いない。

それが………………。















─────────── 彼女のおかげだという事も ───────────






























「ソースケ。 支度出来た? 帰ろ。」



今日もなんら変わりない一日を過ごした。

朝の靴箱爆破も最近はしていない。

彼女に止められたから。

最初の頃は理解出来なかった……不審物の可能性も否定出来なくはないのだから。



「仕事終わらなかったね…また明日も放課後に続きか……とほほ。」



現在は3月初旬。

仕事とは今さら言うまでもないかもしれないが……生徒会の仕事の事だ。

もうすぐ年度が替わるからとなにかとやらなければならない事が多く、今日もその仕事に追われていたというわけである。



「だがもうすぐだろう。 目処はついたからな。 明日には終わるかもしれんぞ。」

「だといいけど〜………。 あ、夕飯良かったら食べてく?」

「………助かる。」



夕飯の招待ももう何度目だろうか。

以前はいつも誘われてもすぐに返事はしなかった。

悪いような気がして、つい聞き返していた。

それも今はない。

誘われたら…断らなくなってしまった。





夕飯はごく普通の和食だった。

いつも思う事だが…彼女の料理は本当にうまい。



「おいしい?」

「ああ、うまい。」

「そ。良かった。」



今さら聞くまでもない事。

それでも…賛辞の言葉を贈ると………。

彼女はとびっきりの笑顔を向けてくれた。



「……どしたの?」

「な、なんでもない……………。」



思わず視線を背けてしまう。










彼女にはなにかと惹かれるものがある。

その一つがこの笑顔だ。

これも最近思うようになった事なのだが……。

俺は彼女の笑顔に弱い。

この言い方は正確ではないかもしれないが………。

彼女は笑顔がよく似合う。

こう思っているのは俺だけではないはずだ。

彼女の笑顔を見るだで………心が落ち着く……………。



「変なソースケ。」



そう言うと、また…今度はくすくすと笑い出した。















特別な存在である彼女はなにかと事件に巻き込まれる事が多い。

そうならないように俺がいるのだが、実際は彼女に助けられる事もしばしばだ。

彼女にとっては最悪の出来事。

それでも負けずと立ち向かうその姿はなんとも言えない。

凛々しい、と思う……………いや。

言葉では表せない。

男には持ち合わせていないたくましさがある…それはきっと俺の知り得ない事なのだろう。

彼女は…俺にとって特別な存在だ。

どんな事件に巻き込まれたとしても……彼女が隣にいれば絶対乗り切れると思えてしまう。










君には笑顔が似合う。

だからその笑顔をこれからも守っていきたい。

ただの護衛から…こう思うようになった。

それはまぎれもない自分の意志だが……。

結局は……。




















俺自身のためなのかもしれない。














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