NO.2 はつにんむ




『ちどりかなめを護衛せよ』

この朝、任務を全うすべく彼らは潜入先の陣代高校へむかう。
その予定ではあったのだが――


6「あたまいてえ。昨日飲みすぎた」
7「・・・・・・」

床に突っ伏して動かない。この前夜に『景気付け』と称してウルズ2と飲み会を行ったのである。
ウルズ6は見事にダウンしていた。

7「だめだ。いくぞ」
6「や、やめろ。吐く。ぜってー吐く。・・・おぇっぷ」
7「まったく、すごうでスパイの風上にもおけないな」
6「くそ。おまえだけで行けよ」
7「だめだ。『ふたりぐみ』の名目上、一緒に行かねばならんことになってる」
6「名目もくそもあるか。うっぷ。・・・・・・だめだ。しぬ」
7「なら、しね」
6「ぐぇ」

思い切り後ろの襟首を引っ張る。
いつものこととはいえ、今日ばかりはこの相棒に愛想が尽きた。はつにんむ当日に二日酔いとは。
7は、ぐったりしたウルズ6をずるずる引きずって玄関を出た。




7「ようやく着いたな」


陣代高校正門前。
無理やり液キャベを飲ませて、ようやく6は自力で歩けるようになっていた。
6が、おもむろにポケットをごそごそと探り始めた。

7「なにをしている」
6「カメラだよ、カメラ」
7「護衛任務にカメラは必要ないぞ」
6「あるのさ。・・・っしゃ!来た!」
7「・・・・・・?」


そして現れたのは、どこか大人びた印象の黒髪の少女。
その美しさを演出するように、どこからか桜の花びらがひらひらと舞い降りてきた。

6「うーん。いいね。やっぱ」

いつの間にかしゃがんで盗撮姿勢に入っていた6のカメラを取り上げた。

6「あっ。ちくしょう」
7「俺が直接彼女を護衛する。6は援護にまわれ」
6「ちぇっ」

6はライフルを抱えてすごすごと去っていった。
さぁ、これからが本番だ。






せんせい「じゃあウルズ7くん。簡単に自己紹介して」
7「すごうでスパイの相良宗介軍曹であります」


スパイにんむ初日から、いきなり本名を明かしてしまったウルズ7だった。





6「じぶんですごうでとかゆうなよ」

6は腹をかかえて笑い転げた。





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