すごうでスパイふたりぐみ 067 第十七回 最終章
臨時教師に扮したウルズ6は、得意気な声音でスピーカーを震わせる。
「えー。相良くん。放課後職員室に来るように。特訓です」 「……」 ひとつふたつ咳き込んでから、ウルズ7は鞄を抱えてのろのろと立ち上がった。 顔色の優れない彼を見て、さすがにカナメは心配になったのだった。 「ソースケ、大丈夫?無理しすぎだよ、最近」 「…問題ない」 「がんばるのはわかるけどさ。具合悪いなら、少し休んでから――」 「いい」 「ソースケ…?」 「わかっている。時間がないんだ」 教室の戸はぴしゃりと閉まった。 *** 戸のすぐ横で待っていたウルズ6は、静かに言った。 6「本部から呼び出しだ。行くぞ」 7「…ああ」 「待ってましたよ、サガラさん」 「大佐どの…!!」 「ここではテッサ博士と呼んでください。ボスは、彼です」 ぬらりと、テッサの後ろにマデューカスが現れた。 「うわっ」 「うわ、とは何事だウルズ7」 「…いえ。申し訳ありません」 ボスよろしく、テッサは椅子を軋ませた。 「わかりますね。…そろそろ、最後の任務です」 「…はい」 「組織なのか、はたまた何者なのかはわかりません。 はっきりしているのは、彼女を狙う者がいるという事実だけです」 「了解しました」 「サガラ」 「…はい」 「おまえには、次についてもらう任務がある。 一緒に進学してヘタに未練を残す必要もない。意味はわかるな?」 「……」 「いずれにせよ、これが最後だ。心して任務にかかれ」 「はい」 ウルズ7は、静かに目を伏せた。 *** 6「これで最後だと。」 6「かくをこがましきごとを聞き入れるかは!」 7「『なぜそのようなばかげたことを聞き入れることがあるだろうか。』」 6「正解だよ」 クルツは拳銃を乱暴に取り出した。 すごうでスパイ067 最終章 次回につづく。 |
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