すごうでスパイふたりぐみ 067 第11回 神田川


あなたはもうわすれたかしら…


6「見えないものを見ようとしてー」

ゴソゴソと望遠鏡を取り出すウルズ6。

7「おまえが天体観測か?珍しいな」
6「ふふん。ただの望遠鏡じゃねえぞ。カメラ付きだ。今はなんの時間帯だと思う?」
7「…まさか」
6「そう、カナメちゃんが風呂に入る時間帯だ」
大真面目。
宗介は目を見開いたまま表情を変えなかった。

6「くっく。まあ、ごくまれにな。
 バスタオル一枚でベランダ近辺をうろついてたりすることがあるんだ。
 今までの彼女の行動パターンと実際の解析データからいって、
 今日は間違いなく 来 る  」
7「……」
6「まて、まて。まだ殴るな。もしいいのが撮れたらおまえにはタダでやるから…と。
  来た!!マジで来た!!

6「みえないものをみようとしてー。
  ぼうえんきょうをのぞきこ」

ボグっ

6「うわっ」
ヒュルルルルルルル
ドーンバリーンバキゴキュッ
6「いってええええええええええええ」
7「うるさい」

下の植え込みにおちたウルズ6。下から声が聞こえる。

6「レンズ割れた。ひでえ。ちきしょう」
7「…彼女もいつもこんな気分なのだろうな」

涼しい顔で、ウルズ7はベランダを後にした(血に濡れた金属バットを手に)。

6「あっ」
6「おまえどこ行くんだよ!相棒を見捨てるのか!?」
6「あ、さてはカナメちゃんの家だな!?」
6「カレーか?カレーなのかこのヤロー!!調子乗りやがって!!ちくしょう!!」

数分後、向かいのマンションのベランダにて

カナメ「星、キレイだね…」
7「そうだな」
カナメ「…カレー食べる?」
7「ああ」

彼らが、いい感じでベランダから去ろうとしたそのとき
下から切なげな声が聞こえる。

6「明日がぼくらをよんだってー
  返事もろくにしなーかったー」
7「…………」
6「くそ。ソースケの野郎。カナメちゃんとイチャイチャしやがって」
6「軍法会議にかけてやる。護衛対象へのセクハラ容疑だ。
  銃殺刑だぜ。この犯罪者。ボルシチ食わすぞ」

カナメ「…なんか下から聞こえるんだけど」
7「最近、いろいろとなげやりになってきたんだ。クルツは」
カナメ「そう。なんでかな?」
7「……………さあ」
カナメ「じゃあ食べようか。さめちゃうよ」
7「うむ」

ガラガラガラガラ
ピシャッ

***

虫の音、風に揺らいで木々がざわめく音、寒々しい街灯の光。
ちなみに今夜は満月だ。

6「わーかーかーった、あーのこーろー。
なーにーも、こわーくなかったー…」(♪神田川)

膝を抱えて、朝まで。
ちなみにここは、さっきの植え込みだ。

6「このまま風邪ひいて、カナメちゃんに看病してもらってやる。
  それも嬉し恥ずかし『BOYS BE…』的な手法で。見てろよソースケ」

***

翌日。
昼帰りして微妙に頬を赤らめた宗介が言うには――

7「あのあと、おれの人生の中で前代未聞なほどの高熱が出てな。彼女の家にとめてもらったのだ」
6「もういいよ。しにてえ」







▼ブラウザバックどうぞ。




SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送